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走らない列車に乗って見る夢は?

2011 年 3 月 31 日 木曜日 投稿者:
 

 

 日之影町の日之影温泉駅。

 旧高千穂鉄道高千穂線の駅の一つで、全国的に珍しい、鉄道の駅と温泉が合体しており、列車を待つちょっとの間温泉を楽しめることで話題となりました。平成17年の台風により鉄道は廃止になりましたが、平成22年4月、ここに新しい施設が誕生しました。

 「TR列車の宿」。

 実際に高千穂線を走っていた列車2両を改装した簡易宿泊施設です。

  

TR列車の外観です。走っていた当時の姿そのまま

TR列車の外観です。走っていた当時の姿そのまま

【TRって?】

 高千穂鉄道株式会社の略称で、延岡市から日之影町、高千穂町までを結ぶ鉄道でした。

 水面から線路までの高さが東洋一を誇る第1高千穂橋梁や、沿線から眺める八戸(やと)観音滝、「神話の里」高千穂に薫る浪漫。五ヶ瀬川の渓谷に沿って走るため、新緑や紅葉など四季折々の美しさが楽しめる風光明媚な観光鉄道としても人気でした。

 平成15年にはトロッコ列車「トロッコ神楽号」が運行され、「窓がないことで心地よい風が感じられる」「見どころに近づくとゆっくりとした速さになり、車内に流れるアナウンスと共に沿線の景色が堪能できる」と好評でしたが、平成17年の台風により甚大な被害を受け、平成20年に全線廃止となりました。

 

 旧高千穂鉄道から日之影町に譲渡された列車は「かりぼし号」と「せいうん号」。

 全長約16メートルあった車両は、ちょっとコンパクトになって、外観デザインは当時のまま、レールの上でお客さんが来るのを待っています。

 

写真左:せいうん号、写真左:かりぼし号。プレートデザインがかわいらしいですね

写真左:せいうん号、写真左:かりぼし号。プレートデザインがかわいらしいですね

 

 プラットフォームにある「ひのかげおんせん」の看板が雰囲気を盛り上げます。

プラットフォームに案内板。高千穂鉄道の名残が

プラットフォームに案内板。高千穂鉄道の名残が

 

 

 さて、入り口に繋がる階段をトントンと上がって扉を開けると……。

嬉しいお出迎え「いらっしゃいませ」

嬉しいお出迎え「いらっしゃいませ」

 

 なんと目の前に運賃箱が!

 レトロな感じがまた、イイ味を出しています。

運転席や計器類などもそのままの形で残っています

運転席や計器類などもそのままの形で残っています

 

 この運転席には座ることもできます。車掌さん気分も味わえるなんて、列車好きにはたまらないですね。

 

写真左:四人部屋、写真右:二人部屋

写真左:四人部屋、写真右:二人部屋。車内はこんな感じ

 ベッド横の車窓からは視界いっぱいに新緑が広がり、ちょっと目線を下げると、そこには五ヶ瀬川のせせらぎが。思わず深呼吸。普段、喧騒に身を置いていると気づきにくい自然の放つ清涼な空気に、次第に肩の力も抜けていきます。

 

 宿の数は、一人部屋、二人部屋、四人部屋が2室ずつあり、合計6つ。料金は、一人部屋が3千5百円、二人部屋が6千円、四人部屋が1万円です。

 それぞれの部屋の名前には、「日之影温泉駅」「影待駅」「深角駅」など駅名が採用されています。日之影町ならではですね。鉄道ファンでなくても心躍ります。

 ちなみに、TR列車の宿では食事や入浴ができません。隣接する日之影温泉駅内のレストランと温泉の利用をおすすめします。

 

 宿を出たところで、右側から湯気がほのかに立ち上っているのが見えます。

 近づくと足湯を発見!無料で足湯体験ができます。

 ここでは、足を温めながら隣合った人達との心の交流が楽しめそうです。

列車の宿のすぐ横に足湯を発見!無料です。写真左:足湯、写真右:足湯をしながらこんな風景が楽しめます

写真左:足湯、写真右:足湯をしながらこんな風景が楽しめます

 

 TR列車の宿を運営する、ひのかげ列車の宿有限責任事業組合の方いわく「列車に泊まれるということで、お子さまのいるご家族の利用が多いですね。土日祝日は予約で埋まることが多いので、平日が狙い目ですよ」。

 

 「予約したい」「もっと詳しく知りたい!」と思ったら、ひのかげ列車の宿有限責任事業組合(電話:0982-87-2600)までどうぞ。

 

 日之影町の公式ホームページでも紹介しています。 (トップページの左コンテンツ内「TR列車の宿」をクリック)

 http://www.hinokage.jp/web/index.shtml

  

 かつて線路を駆け抜けた列車は目的地を変え、安らぎと夢の世界へと貴方を運びます。